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マンロン350完走のご報告
まだ真っ暗なマンチェスター市街。集合場所のヴェロドロームでライダーズリストにサインオンをして、ヘルメットに計測チップをつけてもらい、スタート地点へ。垂れこめた濃い朝もやの向こうにロンドンまで延びている350kmを思うと、いったいどうなるんだろうと不安でたまらない。ドミニクの背中を頼もしく思いながら(これがある意味ではわたしの苦しみのもとだったとも言えるのだけれど)ブリーフィングを受けて、小グループで暗闇の中に漕ぎ出す。仲間の赤いテールライトが暖かい。


スコットランドがUnited Kingdomから出て行ってしまうかハラハラして見ているイングランドだが、イングランドの中でも北部(代表がマンチェスター)と南部(当然ロンドンが代表)はちょっとしたライバル意識もあるので、北軍か南軍か出身地などによってめいめい好きな方を選んで登録。ドミニクはフランス人、わたしは日本人とガイジンだけれど、ロンドン住まいなので茄子紺の南軍のナンバーとキャップを選んだ。

時速28km/h程度で抑えめにペースを保つが、すぐに上りが始まった。今回のルートは前半100kmに獲得標高の大半が集中。とくに40km地点にわざわざ用意されていた最大20%のCowlow Laneでは、半数以上の人が押して歩いていた。まだ先は長いからあまり無理しないでおこうという判断はあったと思う。

ところが負けん気が強いドミニクは斜度がみるみる上がり、わたしがあっという間に踏めなくなってただのお荷物になってもぐいぐい踏んで登っていく。すごいパワー。でもこんなところで坂相手に勝ってもしょうがない、敵はここにはいない、350kmの距離がラスボスなのよ、ヤメて降ろしてと懇願してようやく降りさせてもらった。


すたすたと行ってしまうドミニク。このあとふたたび跨がって頂上まで登っていった。こういうバランス悪いまでの負けん気がないと、ナショナルチャンピオン(ベテランカテゴリ)を何度もとったりできないのだろうなぁと、嘆息とともに見上げるわたし。

牛や羊が草をはむ緑美しいピーク・ディストリクトでようやく日差しに包まれ、運転しなくていいわたしは景色を堪能、写真をたくさん撮ろう……という思惑はバッチリはずれた。このあたりからゴールまで、結局ずーっと©イェンス・フォイクトの「Shut up legs!」よろしく脚の痛みに耐え、お尻の痛みに耐えながらのライドになってしまったのだ。記憶の中の絶景は、白いもやがかかったままのような感じだ。Raphaのこの記録ビデオのような美しい景色は見たような、見ていないような……。(ちなみに3:30すぎと、4:40すぎの2回、ちらっと映っています)
 

タンデムは2つのクランクがチェーンで固定されているので、お互いの出力が足の裏に如実に伝わってくる。わたしだってできるだけお荷物にはなりたくないので、ついふだんより頑張ってしまう。おまけにドミニクがしばらく出ていなかったお得意の足つり病を発症してしまい、立ち漕ぎが封印に。さっきの激坂で頑張りすぎたせいに違いない(だから言ったのに〜)。ただでさえ上りが不得意なタンデムで腰を上げられないのはきつかった。

勾配がキツく長くなると、ふだんのライドではほとんど聞くことのないドミニクがの息づかいが聞こえきて、申し訳なくてわたしも必死に踏む。脚、炎上。下りで少し挽回しても、丘また丘のイングランドの大地。また上りが迫ってくる……の繰り返し。


そして距離を重ねるほどにひどくなってくるお尻の痛み。ふだん200km走ってもまったく問題ないお気に入りのアリオネをつけていたのでサドルのせいではなくて、タンデムに慣れていないせいだと思う。後ろの人は路面が見えないので、路面不整は前の人が声をかけてインパクトがある瞬間サドルにかける体重を減らすのだけれど、声かけは忘れがちだしすべての不整で声をかけるのも現実的ではなくて、どうしても坐骨にガッツーンとやってしまう。

前の人はシートポストがホイールベースの中央にあるので、後ろほど衝撃が来ていないのだろうなぁとも思う。フィードステーションで椅子に座れないほどになってしまった。ペダリングが基本的にはキャプテン(操縦者)まかせなのも、サドルにかかる体重を分散させにくい原因だった。後半は体重を分散させていた手のひらと指の神経もしびれてきた。


脚とお尻の痛みで景色どころではなくなり、フルームよろしくステムを見つめ、km表示の小数点以下第1位の数字を睨んでいた後半。これはもうすぐ300kmのところ。

「脚よ、あれが倫敦の灯だ」というリンドバーグな気分になるほど暖かく見えたロンドンの黄色い街灯。生きて帰ってきましたよ!

最後の最後に2つほど用意された10%ほどのいやらしい坂を朦朧としつつ越え、ロンドンのヴェロドロームに着いたのは夜の9時半すぎ。オフィシャルタイムが15時間38分、Garminによると走行時間は14時間9分、平均時速25.6km/hだった。


「タンデムで350kmなんて、ぜったい別れるね〜」と共通の友人何人もから警告されていたけれど、なんとケンカひとつなく(わたしの悲鳴のような懇願は多数あったけれど)到着できました(笑)。

タンデムについての感想をまとめると、少なくともこのタイプのライドにはズバリ不向き!だったと言えましょう。トラック競技、あるいはもっとゆっくりな長距離長期間ツーリングにはタンデムのメリットはおおいにありそうだけれど。タンデムなら楽かなと思ったのが邪な発想だった。ひとりで走ったほうが体力的にはだいぶ楽だったと思う。

でも、苦しみつつも楽しかったのもたしか。わたしのタイムは女性の中では上位のほうで、この数字はもしも自分ひとりで走っていたらとても出せなかったはず。それだけドミニクの力で運んでもらったし、わたしも逃げ場がないだけに朦朧とするほど自分を追い込めたのだと思う。苦しさをほぼ完全に共有し、心の底からお互いの健闘をたたえ合えたその経験も、新鮮だった。ここまでのレベルはもう経験しなくていいけれど。

自閉症チャリティへの寄付は、おかげさまでおよそ22万円ほどいただきました。みなさん本当にありがとうございました! 今回完走したのはおよそ140人とのことで、寄付総額は1800万円近くになっているそうです。チャリティへの寄付が盛んなイギリスでも、1回のイベントでここまで集まることはなかなかないと思います。

少し前の自分なら想像もしなかった距離を走り終えた満足と、さらに誰かのためになることを少しでも手伝うことができた満足と。翌日翌々日と泥のように眠ってほとんど四足動物として生活することになったけれど、人生の思い出に残るチャレンジになりました。参加してよかった!

来年はロンドンからマンチェスターに逆に北上する計画が持ち上がっているとか。うーん……わたしは……少なくともタンデムでは挑戦しないと思います(^^ゞ


今回の寄付先、Ambitious about Autismのファンドレイジング担当アンさんとゴール後に。終日ライドに同行していろいろ世話を焼いてくれたアンさん、「今日はすごいものを目撃しました。そしてこのいただく寄付で大勢の子どもたちとその家族が助かります」と目がウルウル。心底感動してくれていたようです!


 
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