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二重被爆者を「愚弄」した(?)BBC批判に思う
 BBCの「QI」というコメディトーク番組で、日本の二重被爆者の方がトピックのひとつに取り上げられた件。

●トーク番組のその部分はこちら(YouTube)

 私もツイッターなどでいろいろ書いたけれど、番組についての私の意見と理解は加藤祐子さんという翻訳などをされている方のブログとほぼ重なるので、こちらをぜひ読んでいただきたいと思います。加藤さんが番組中の会話を全翻訳されたエントリーはこちらです。

 この内容を理解すれば、日本の各新聞が当初書きたてた「被爆者を愚弄/嘲笑した」というような事実がないことはわかると思います。この点で、たとえば日経新聞の社説担当者が本当にこの番組を見て笑っていることの内容を理解して書いたことなのか、きわめて怪しいと私は思います。

 興味深かったのは、この加藤さんのほかに、在英ジャーナリストの小林恭子さん@nofrillsメモ魔ですさんといった方々が、それぞれの表現や立場は微妙に違えど、かなり同じことを言っていたことです。その様子はtogetterにまとめられています。イギリスに親しみのある方は@nofrillsさんのこのまとめブログも、背景や歴史の話もあって興味深いと思います。

 とはいえ。

 私も小学生のうちから原爆展にひとりで足を運んだりしつつ日本で育ちました。核兵器の非人道的な破壊力・悲惨さ・残酷さが、日本でほどは世界で知られていないことに普段から心を傷めている一人です。このQIでも、被爆者を笑っているわけではないとわかっても、いい気分はしません。軽々に扱うなと抗議するのは必要なことだと思います(大使館が対応すべきだったかどうかは疑問ですが)。

 とはいえ。

 どこか今回の日本での騒ぎで気持ち悪いのは、こんなに日本って原爆の悲惨さが理解されていないことに一丸となって怒れるほど、反核でまとまってたっけ?と思ってしまうことです。最近、政治家が非核三原則を緩めることに言及したり、米国との核持ち込みの密約が明らかになったり、一部の有名人が日本の核武装を声高に叫んだりしても、あまり批判する声が大きくないことが気になっていたからです。イラクで劣化ウラン弾が使われたことを知らない人も多いようです。

 「原爆って言うのはほんとうに非人道的な恐ろしい兵器なんですよ、日本はひどい目に遭わされたんです」という台詞は、日本が核兵器を所有したら言えなくなることのはず。あの悲惨さを、地球上のどこかの人間に与える用意があるということだから。

 あの思いを味わう人間がもう二度と出ないようにしたいという未来のためのBBC批判なら、今回の騒動も無駄ではなかったと個人的には思えなくもない。でもどこか、謝罪を求めることにばかりこだわる声が大きいような気もするのです。



英国の新聞生き残りバトルで生じたニッチに登場『i(アイ)』
  日本のように新聞の配達網がなく、基本的にはキオスクなどで毎朝購入するシステムの英国の新聞。『ザ・タイムス』やウィキリークスで日本でも知っている人が増えた『ザ・ガーディアン』などの高級紙から、ゴシップとヌードで満載の大衆紙『ザ・サン』『デイリー・ミラー』(前回のエントリー参照)などまで種類は多い。

 けれど、パリの『Metro』紙に始まったフリーペーパーがロンドンに何紙も登場し、インターネットで記事の大半が無料で読めるようにもなり(タイムズは昨年有料化)、新聞社の経営はかなり苦しくなっている。ロンドン限定の夕刊紙として歴史のあった『イブニング・スタンダード』紙はこの圧力に負けて無料化してしまった。

 とくに高級紙『ザ・インデペンデント』は相当苦しそうで、昨年にはロシアの富豪に『イブニング・スタンダード』紙とともに買収されたばかり。以前は24万部あった販売部数が今は18万部に落ちているという(しかもそのうちの6万部は無料配布)。ネット版も、かなり大胆に動くバナー広告なども入れて売上に必死の様子が伝わってくる。コラム陣が主張が強く全体的に若い印象で好きな新聞のひとつなので心配している。

 苦肉の案として、昨年10月にわずか20ペンス(30円)の『i(アイ)』というタブロイド版を創刊した。『ザ・インデペンデント』の頭文字をとった弟分で、本紙のダイジェストのような作りになっている。編集長も同じだ。

i
いわゆるタブロイド紙サイズ、56ページあって、ひとつひとつの記事は短めだがそれなりに読み応えもある。忙しい朝にトピックをつかむのにはむしろいい感じ。本紙が1部1ポンド(134円)に対して、これは20ペンス(30円)。

 スタートしてほぼ3ヶ月、最近はテレビ広告を打ち、ちょっと積極的な攻勢に出ている感じなので初めて買ってみた。

 最初の数ページは、街頭でアルバイトが配布している無料新聞に似たカラフルなレイアウト。親しみやすさを出すためか芸能人の写真などもわざと多めにいれている。それでも政治・経済・国際などの大切な見出しはだいたい載っていて、丁寧にわかりやすいミニ解説までついている。無料新聞はゴシップばかりと辟易しているけれど、高級紙はどうせ読みきれないし……という通勤者にはちょうどよさそう。トピックによっては食い足りなさもあるけれど、思いがけずよかった。iPadアプリも出ている

 ただ問題は、無料新聞の浅い内容に不満を持ちながらもそれに慣れてしまった通勤サラリーピープルが、わざわざキオスクに立ち寄って新聞を買う手間を払うかだと思う。20ペンスはあまり障害にならないだろうが、無料新聞は歩いていると渡してくれたり、改札の横に積み上げてあるので、とにかく手に取りやすい。

 この号の編集長コラムで、「僕の親はゴシップだらけの『ザ・サン』しか買わないけれど、『i』は人々が知るべき記事が乗っていると思う」と13歳の少年がメールを送ってきて嬉しかったとあった。イギリスはじつは『ザ・サン』がダントツで売れている日刊紙で、それらを読んでいる層と、高級紙を読んでいる層がまさに階級社会的に分断されすぎているのが問題だとひとりのガイジンとして常々感じているので、その間をつなぐ可能性がある『i』が成功してくれたら、とは感じている。日本も新聞離れが嘆かれているけれど、こんな試みを積極的にやってみてもいいかもしれない。

 iPadアプリは最初に5部まで無料で読め、以降は10部で1.79ポンド(240円)、20部で2.99ポンド(400円)。世界中で購読できるとのことで、英語を勉強する人にもよさそう。iPadユーザーの方はお試しあれ。
英国、13年ぶりの保守党政権か
 今、英国では総選挙の開票が進んでいます。13年ぶりに労働党が政権を失い、保守党が返り咲くか、はたまたこの数年で大躍進してきた第三党の自由民主党がどこまで票を伸ばすのか、大きな注目を集めています。

 日本と比べて、選挙が一大エンターテイメントのような要素もある英国。BBC1はマジメながらCGを惜しげもなくふんだんに使った番組を展開。その裏の民放では風刺芸人たちによる開票速報お笑いも。英国では、政治はお笑いの大きなネタです。

 日本と違うところといえば、新聞各紙がかなり明確に支持政党の名乗りを上げることでしょうか(テレビ局は規制もあるらしくやりません)。

election The Sun
今日の新聞スタンド。左下の「デイリー・ミラー」が日刊ゲンダイ、
右下の有名な「ザ・サン」は英国で最も売れている日刊紙で保守党支持。

 上の写真下段は大衆紙の中でも人気の2紙。イラク戦争反対でも大きなキャンペーンを張ったミラーは、今回勝利が濃厚と言われている保守党党首のオックスフォード時代の恥ずかしい写真を一面にし、「こんなのが首相になっていいの? マジで?」。サンのほうは「我々の唯一の希望」と同じ人物を偉大なアイコンのような印象に仕立てていて対照的。

 いまのところ出口調査とはかなり違う開票状況で、大勢は朝方にならないとわからないようです。とりあえず、寝ます。